誹謗中傷の対策方法とは?SNS等インターネットで誹謗中傷された場合の対策方法や未然に防ぐ対策方法を解説

SNS等インターネットサービスが普及し、誰しもが情報発信できる社会になりましたが、残念ながらそれに伴い誹謗中傷の投稿も多くなっております。

誹謗中傷により、ときには尊い命を落とされる方もおり、社会問題にもなっております。

本記事では、インターネット上で誹謗中傷された場合の対策方法や未然に防ぐ対策方法を解説します。

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誹謗中傷とは

誹謗中傷とは、一般的に悪口やデマなどをいい人を傷つけるという意味で使用されることが多いですが、元々は『誹謗』という言葉と『中傷』という別々の言葉を合わせた言葉です。

誹謗とは他人に対し悪口をいうことで、中傷とは根拠のないことをいいふらして他人の名誉を傷つけることですが、人を傷つけることという点では共通しております。

似た言葉で『批判』がありますが、人を傷つける誹謗中傷に対し、批判とは相手と異なる意見を主張することなので、境目は難しいですが誹謗中傷と批判は異なります。

誹謗中傷は昔からありましたが、SNS等インターネットサービスの普及が進むにつれ誹謗中傷の件数は年々増加傾向にあります。

主な理由としては、

・匿名で投稿できるため誹謗中傷することによる投稿者の心理的ハードルが低くなる

・SNS等インターネットサービスの普及が進むにつれ利用者数も増え、誹謗中傷する利用者もそれに伴い増加する

・文字が中心のTwitter、写真が中心のInstagram、動画が中心のYouTube、連絡手段が中心のLINEなど様々なサービスがあることにより、誹謗中傷のされ方もそれぞれの媒体により多様化されている

などが主に挙げられます。

誹謗中傷された場合の対策方法とは

もし、ご自身やご自身が経営している会社が誹謗中傷の投稿をされてしまったらどうすればいいか、対策方法を記します。

『対策はせずに無視をする』という方法もなくはありませんが、それは根本解決にはならず、投稿者は引き続き誹謗中傷を行う可能性があるため勇気をもって対策を講じましょう。

誹謗中傷の投稿を記録・保存する

誹謗中傷の投稿をされてしまったら、まずはその投稿を記録・保存するようにしましょう。

詳細は後述しますが、誹謗中傷の投稿をされ被害を受けましたら損害賠償請求したり、警察に相談したりするという方法があります。

損害賠償請求にしろ警察に相談するにしろ、誹謗中傷をされたという証拠が必要です。

しかし、投稿は削除されてしまうことがあるため、削除される前にスクリーンショットなどでその投稿ページを記録・保存し、証拠を残すようにしましょう。

 誹謗中傷の投稿を削除申請する

誹謗中傷の投稿をされてしまったら、その投稿の削除を試みましょう。

削除の申請は、1.投稿者へ申請する2.サイトの管理者へ申請する3.裁判所へ申請するの3通りがあります。

1.投稿者へ申請する

SNSなど投稿者へ直接連絡できるサイトで誹謗中傷された場合は、その投稿者へ直接削除申請のメッセージを送りましょう。

注意点としましては、感情的になってメッセージを送りますと投稿者を刺激してしまい削除に応じてもらえない可能性が高くなってしまいます。

冷静になり、その投稿により名誉毀損やプライバシーの侵害などどのような被害を受けているかを伝え、削除に応じないと法的処置も辞さないことも伝えましょう。

2.サイトの管理者へ申請する

投稿者が削除に応じなかった場合、または投稿者へ直接連絡ができないサイトで誹謗中傷の投稿をされた場合はそのサイトの管理者へ削除申請しましょう。

サイトにはそれぞれ利用規約があり、その利用規約には誹謗中傷の投稿を禁止する旨が記載されていることがほとんどです。

そのサイトの利用規約の内容を確認し、どの部分がどのように誹謗中傷にあたるのかを記載し管理者へ削除申請しましょう。

3.裁判所へ申請する

投稿者もサイト管理者も削除に応じなかった場合、裁判所へ仮処分手続きを行うことにより削除できることがあります。

仮処分とは、正式な裁判の前に、裁判に勝訴したときと同じ状態になることができる手続きです。

裁判所が削除命令をすることにより大抵の相手は削除に応じますし、仮に応じなかった場合は強制執行の手続きをとることができます。

 誹謗中傷した投稿者についての情報開示請求する

誹謗中傷の投稿を匿名でされた場合、プロバイダ責任制限法に基づき、その投稿者の氏名や住所などの情報を得るためにプロバイダに対し情報の開示を請求することができます。

プロバイダには、SNSなどの情報提供事業者のコンテンツプロバイダと、インターネットに接続するための回線を提供しているインターネットプロバイダがあります。

まずはコンテンツプロバイダに情報開示を求め、IPアドレスの開示を受けどのインターネットプロバイダを使用しているか情報を得て、インターネットプロバイダへ投稿者の個人情報の開示を請求します。

警察に相談する

『民事不介入の原則』があり、個人間のトラブルに警察は介入できないのが原則ですが、違法性が高ければ動いてもらえることがあります。

例えば、殺害や傷害をほのめかすような投稿や、名誉毀損に該当するような投稿に関しては警察に動いてもらえる可能性があります。

また、繰り返し何度も執拗に投稿するようなケースでも対応してもらえることがあります。

警察に相談する際には、全国の警察本部にはサイバー窓口がありインターネット関連に精通した窓口なのでそちらで相談しましょう。

専門家へ相談する

削除申請にしろ、情報開示請求にしろ、警察に相談するにしろ、誹謗中傷の証拠を記録・保存したり

相手に説明し納得してもらう必要があります。

しかし、多くの人は初めて経験することであり、実際にはよくわからないという方がほとんどだと思います。

また、一人で悩んで辛いという方もいると思いますので、弁護士などの専門家へ相談しながら対策を講じていくことをおすすめします。

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誹謗中傷した投稿者にどのような刑罰を問えるのか

誹謗中傷をした投稿者にどのような刑罰を問えるのか、主だったものとしては以下の4つの刑罰が挙げられます。

1.名誉毀損罪

2.侮辱罪

3.信用毀損罪

4.脅迫罪

1.名誉毀損罪

名誉毀損罪は、『公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者』に対して問える罪です。

例えば、『〇〇会社の〇〇部長は、同社の部下と不倫関係である』といった内容をインターネット上で投稿した場合は名誉毀損罪に該当する可能性があります。

ちなみに、『〇〇会社の〇〇部長は、同社の部下と不倫関係である』という内容が、たとえ事実だとしても名誉毀損に問われます。

2.侮辱罪

侮辱罪は、『事実を摘示しなくとも、公然と人を侮辱した者』に対して問える罪です。

例えば、『バカ』『アホ』『気持ち悪い』『ブス』『ブサイク』といった言葉は侮辱にあたります。

具体的な事実の摘示がない、人を蔑視したり嘲笑したりするような投稿をした場合は侮辱罪に該当する可能性があります。

3.信用毀損罪

信用毀損罪とは、『虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者』に対して問える罪です。

例えば、競合他社を陥れるために『〇〇レストランの料理に虫が入っていた』と虚偽の投稿した場合は信用毀損罪に該当する可能性があります。

4.脅迫罪

脅迫罪とは、『生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者』に対して問える罪です。

例えば、『殺してやる』『殴るぞ』『家に帰さないぞ』『お前の子供がどうなってもしらないぞ』などの投稿をした場合は脅迫罪に該当する可能性があります。

特に、これらのような刑罰に該当するような誹謗中傷をされた際は、取り返しがつかない事態になる前に警察や専門家へ早急に相談しましょう。

誹謗中傷を未然に防ぐ対策方法とは

これまで誹謗中傷された際の対策を案内してきましたが、未然に防げればそれに越したことはありません。

ここでは、未然に防ぐポイントを2つご案内します。

 誹謗中傷を誘発するような投稿をしない

誹謗中傷を受けてしまうきっかけとして、自身の投稿内容が原因だったということもあります。

未然に防止するためには、1.度が過ぎた内容の発信や動画は投稿しない2.未確定情報を断定口調で投稿しない3.他の人の情報を勝手に投稿しないが挙げられます。

1.度が過ぎた内容の発信や動画は投稿しない

度が過ぎた内容の発信や動画の投稿は、見る人を刺激し誹謗中傷の的になりやすいので注意して下さい。

例えば、『男性(または女性)はこうあるべき』『〇〇国籍の人は劣っている』『〇〇党の支持者は頭が悪い』という内容の発信や、『飲食店で店員に怒鳴る』『夜中に騒音を出す』『子どもを真夜中に外に連れ出す』という行為を動画に撮影し投稿することです。

度が過ぎた内容の発信や動画を投稿すると多くの人から注目されるため、承認欲求を欲している人ほど行ってしまいがちですが、そのような投稿で注目されても反感を買うだけなのでやめましょう。

2.未確定情報を断定口調で投稿しない

まだ未確定である情報をあたかも確定情報のように断定口調で投稿してしまいますと、噂を間に受ける人や嘘をつく人というレッテルを張られてしまい、誹謗中傷の的となってしまう可能性があります。

特に注意したいのが、自身は悪気なく投稿した内容が未確定情報であり、結果的にトラブルになってしまうことがありますので、情報の根拠を確認したり断定するような口調にはしないようにしたりしましょう。

3.他の人の情報を勝手に投稿しない

他の人の情報を勝手に投稿すると、相手に不快な思いをさせてしまうばかりか、プライバシーの侵害にあたる可能性もあります。

特に注意したいのが、善意のつもりで投稿した内容が相手にとっては公表されたくない場合があります。

例えば、友人が昇級し給料が上がったことに喜び、祝おうと思い、そのことを投稿したらその友人は公表されたくなかったということがあります。

他の人の情報を投稿するときは、本人に事前に確認するようにしましょう。

投稿者をブロック・ミュートする

いきなり誹謗中傷の投稿をされることもあれば、初めはちょっとした口論だったのがヒートアップして誹謗中傷に発展することもあります。

お互いに意見を言い合い議論することはいいと思いますが、感情的になってしまった際は早めにブロックやミュートし誹謗中傷に発展しないようにしましょう。

ただし、ブロックやミュートをしてもその投稿は残り続けてしまいますので、既に誹謗中傷をされてしまった場合はきちんとその投稿を削除申請するなど対策を講じましょう。

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誹謗中傷と風評被害の違いとは

誹謗中傷と似た言葉で風評被害がありますが、正確には意味合いが異なります。

誹謗中傷は相手の悪口などをいい人を傷つけることですが、風評被害は事実無根の情報が広まることにより被害を受けることです。

イメージとしては根も葉もない噂で被害を受けることです。

例えば、口コミサイトで商品の悪口を書かれてしまった場合、その口コミの内容が事実でなくとも、その口コミを見た消費者は外れを引きたくないと思い別の商品を買ってしまう可能性があります。

誹謗中傷を放置するリスク

誹謗中傷を放置すると様々なリスクにさらされます。

誹謗中傷を放置していると、実名や住所などの詳細な個人情報を特定され、その個人情報を拡散され被害が拡大してしまうことがあります。

また、誹謗中傷の投稿を勤め先の上司が見たときに、その上司が鵜呑みにしてしまった場合社内評価に影響が出てしまうことがあります。

就職活動中の場合、面接官がその投稿を見てマイナス評価をすることもあり得ます。

誹謗中傷された際はショックで頭も混乱していると思いますが、放置していると二次被害が発生してしまうこともありますので、専門家に相談するなどして冷静に対策を講じましょう。

誹謗中傷に対して日本国はどのような対策を講じているのか

誹謗中傷による問題が深刻化していることから、日本国も誹謗中傷対策に力を入れており、総務省は#NoHeartNoSNS(ハートがなけりゃ、SNSじゃない!)をスローガンに、SNS上の誹謗中傷対策に取り組んでいます。

悩みや不安を持っている方に対して相談できる窓口を設けていたり、削除申請のアドバイスを受けられる窓口を設けていたりしております。

また、被害者救済のためにプロバイダ責任制限法の一部を改正するなどして、プロバイダに対する情報開示の手続きプロセスを簡素化するなどの取り組みもしております。

まとめ

誹謗中傷を受けることはとても辛く悩ましいことです。

しかし、泣き寝入りし放置しているとより被害が広がる可能性があり、また、投稿者はその後も誹謗中傷を続ける可能性もあります。

勇気を出し、専門家を頼るなどして誹謗中傷の対策を講じましょう。

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    弁護士土屋勝裕
    弁護士法人M&A総合法律事務所の代表弁護士。長島・大野・常松法律事務所、ペンシルバニア大学ウォートン校留学、上海市大成律師事務所執務などを経て事務所設立。400件程度のM&Aに関与。米国トランプ大統領の娘イヴァンカさんと同級生。現在、M&A業務・M&A法務・M&A裁判・事業承継トラブル・少数株主トラブル・株主間会社紛争・取締役強制退任・役員退職慰労金トラブル・事業再生・企業再建に主として対応
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