近年では、行動を起こす前にネット上の口コミを参考にする方も多いでしょう。商品の評価や企業の評判など、口コミにもさまざまな種類があります。口コミのなかには、就職活動のときなどによく参考にされている「転職会議」というサイトがあります。
転職会議の口コミは有益な情報を得られる一方で、企業への誹謗中傷を含む悪質な口コミが投稿されることもあるようです。実際に企業では、風評被害などのトラブルに発展することも少なくありません。
このような悪質な口コミについては、削除できる可能性があります。口コミが企業に与える影響は大きいため、転職会議の口コミを削除依頼する方法、対処する際のポイントなどは理解しておきましょう。
転職会議とは「大手口コミサイト」である
転職会議とは、「株式会社リブセンス (Livesense Inc.)」が運営している大手口コミサイトです。おもに、企業に関するさまざまな口コミが投稿されています。投稿される内容を見てみると、企業ごとの職場環境や待遇、社内の雰囲気などの投稿が多いようです。企業の内情を知ることができるため、転職を検討するとき参考にする方も少なくありません。
就職活動を行う方には有益な情報がある一方で、投稿された口コミには誤解を招くような内容がよく見られことも特徴です。なかには誹謗中傷を含む悪質な投稿も見受けられ、風評被害を受ける企業もあります。投稿された内容によっては売上などに影響する可能性もあるため、影響が懸念されるときはできる限り早めの対処が大切です。
転職会議の口コミが及ぼす影響とは?
近年においては、口コミが及ぼす影響は多大なものです。単なる個人的な意見にとどまらず、企業の業績に大きな影響を与えることもあります。
総務省が公表した「情報通信白書」によると、オンラインショッピングの際、およそ6割の方が口コミを参考にしていることが分かりました。口コミについては他にも企業をはじめ、さまざまな機関が調査を行っています。なかには、サービスを利用する際に口コミの影響を受ける方は、8割ほどにのぼるというデータもあるようです。
このようなデータは多く存在しており、口コミが市場に与える影響力の大きさが伺えます。当然、転職会議の口コミも例外ではありません。良い評判であれば企業にもプラスに働きますが、誹謗中傷などの悪い評判だと企業が被るダメージも大きくなるでしょう。転職会議の口コミが及ぼす影響には、以下のようなものが考えられます。
参考資料:総務省|平成28年版「情報通信白書」
企業のイメージダウン
誹謗中傷などを含む悪質な口コミは、企業のイメージに大きな影響を与えます。悪いイメージが定着してしまうと、企業の信頼性が低下してしまい、売上などが減少する可能性もあるでしょう。
現代社会ではビジネスも多様化しており、さまざまなサービスが提供されています。一方でサービスを提供する企業の数も多く、あらゆる分野で市場が飽和状態になりつつあります。そのような状況のなかでは、生き残るべく競合他社にはない付加価値を付けることが大切です。実際に多くの企業がイメージ戦略にも注力しており、自社のブランド力アップなどを図っています。
市場の動向を見て分かるように企業のイメージとは、業績を左右する非常に重要なものです。良いイメージであれば利用者に安心感を与え、悪いイメージであれば不安を与えます。不安がある企業のサービスを利用する方は、多くはないでしょう。悪いイメージが定着しないためにも、誹謗中傷を含む悪質な口コミが発見されたときは、早急に対処することが大切です。
取引先との関係に影響が出る可能性も
口コミは多くの方が見る機会が多いものです。当然、得意先企業の方も見ている可能性があります。口コミの全てを信じるわけではないと思いますが、少なからず影響を与える部分もあるでしょう。特に得意先のキーとなる人物が口コミを見ているときには、取引にも影響が出ることも懸念されます。
企業間の取引においても、信頼関係が重視されることは多くあります。いくら価格が安いからとはいえ信用がおけない相手との取引には、リスクを感じ取引を躊躇う担当者の方もいるでしょう。すでに取引がある場合には、リスクを考慮して取引条件が厳しくなったり、シェアが落ちたりする可能性は十分に考えられます。イメージダウンが続けば、取引停止になる可能性も否定できません。
このように自社への誹謗中傷を含む悪質な投稿は、取引先との信頼関係などにも深く関係してしまうため、対応を検討する必要があります。
採用活動にも影響を及ぼす恐れがある
転職会議は、転職者への情報提供を目的としたサイトです。サイトの性質上、就職活動をするときに閲覧する方も多くいます。
現在、日本は労働に関する多くの課題を抱えています。長時間労働をはじめ、賃金や待遇の格差、ハラスメントなど課題の分野もさまざまです。政府も早期改善を推し進めており、法律の改正や助成金の支給などを積極的に行っています。そのため、求職者も社内事情や労働環境には敏感です。象徴するかのように問題が多い企業に対しては、「ブラック企業」なる言葉も生まれました。当然ですが、ブラック企業に勤務したいという方は少ないでしょう。
口コミによって悪いイメージがついてしまうと、ブラック企業と誤解される恐れがあります。すると応募者が減ってしまうことが予測され、優秀な人材の確保も難しくなります。結果的には、今後の事業展開に影響が出る場合もあるでしょう。そのような事態に陥らないためにも、誹謗中傷のような悪質な口コミに対しては削除依頼などを検討する必要があります。
転職会議に投稿された口コミの削除依頼はできるのか?
自社への誹謗中傷が含まれた悪質な口コミを投稿されたときには、削除依頼を検討する企業も多いでしょう。しかし、口コミの削除は簡単にできるわけではありません。削除してもらうためには、一定の手順や手続きに沿って進める必要があります。
適切な対処をするためにも、まずは転職会議の口コミにおけるルールを把握しておきましょう。
原則として削除依頼はできない
転職会議に投稿される口コミは、原則として削除依頼ができないとされています。簡単に削除ができるようになると情報操作が容易となり、公平さがなく偏った内容になってしまう可能性があるためです。これでは真実が埋もれてしまい、読者に不利益をもたらす恐れがあります。このように公平さの観点から転職会議では、口コミの削除が簡単にはできなくなっているようです。
実際に公式サイトでも、投稿された口コミは削除できない旨が明記されています。そのため自社に不都合な内容であったとしても、投稿された口コミを削除するのは難しいといえるでしょう。
なお転職会議では、自分が投稿した口コミであっても簡単には修正、削除ができないようになっています。修正や削除をしたいときは、定められた手順に沿って進めることが必要です。
公表されているガイドラインに違反する口コミは削除依頼が可能
公平さを維持するためとはいえ、あまりにも悪質な内容については、絶対に削除できないわけではありません。残念ながら世の中には、悪意をもって誹謗中傷を含んだ内容を投稿する方もいます。このような口コミに対しては、適切に対処しないと公平さも失われてしまうでしょう。
そのため株式会社リブセンスでは、転職会議におけるガイドラインを公開しています。ガイドラインのなかには、削除に関する規定も設けられており、該当した口コミは削除されるようです。ガイドラインによると、以下のものは削除対象となっています。
個人が特定できるような投稿
役員や社員など個人が特定できるような内容は削除対象です。表現の仕方がイニシャルであっても特定できる可能性が高いためNGとなっています。課長や部長など、役職名のみであれば投稿は可能です。
該当する例としては、以下のようなものが挙げられます。
【該当する例】
- 個人の私生活に関する内容
「部長の○○は、▲▲というスーパーでいつも買い物をしている」
- 個人が特定できるような記述(実名、ニックネーム、身体的な特徴など)
「事務のS田さんは~」
参考資料:「転職会議」|口コミ投稿ガイドラインより
誹謗中傷や悪意が感じられる内容
転職会議は、転職を検討する方へ客観的な情報の提供を目的としているサイトです。誹謗中傷が含まれる内容は、サイトの目的に沿っていないため、削除の対象となります。公式サイトでは感情的・抽象的な表現は控えるよう促されており、求められるものは客観的で具体的な投稿です。おもに、職場の雰囲気やどのような制度があったなど投稿が挙げられます。
以下は、削除の対象となり、誹謗中傷な投稿と扱われるものです。
【該当する例】
- 外見的な容姿に対する表現
「ブサイク、デブなど」
- 個人の能力に対する表現
「クズ、バカなど」
- 定義が曖昧なうえに悪意が感じられる表現
「使い捨てにされる、会社の駒など」
- 乱暴な言葉遣いが含まれた表現
「潰れてしまえ!」など
上記に該当する内容が書き込まれたときは、削除できる可能性があります。
事実かどうか証明できない内容
削除対象には、事実を確認できない内容も含まれます。具体的には、投稿者自身が体験していないにもかかわらず、憶測や噂などをもとに投稿した不明確な内容のことです。該当する例としては、以下のようなものが挙げられます。
【該当する例】
- 噂話などの情報が不明確な内容
「噂で聞いた話によると、株式会社〇〇では社内いじめがひどいらしい」
- 憶測や伝達などの内容
「〇〇で働くと精神が確実に病む」
上記のように、具体的な情報や体験談が含まれない内容については、削除の対象となる可能性があります。
誤解を与えるような誇張した内容の投稿
誤解を与えるような表現や誇張した内容も削除の対象です。実際には有給休暇があるにもかかわらず、有給がないと嘘の情報を投稿している場合などが該当します。また、投稿時に具体的な内容が無い場合にも、削除の対象となる場合があります。
【該当する例】
- 実際にあるものに対し、ないという嘘の内容や誤解を与える内容
「〇〇企業に休日はない」
- 誇張し過ぎた内容
「この企業で働く社員は、バカばっかり」
読者に不快感を与えるような投稿
誤字脱字や読者が不快に感じるような表現も削除対象です。転職会議では、投稿された口コミの質を上げる取り組みを行っています。そのため、読者が不快に感じる、読みにくいような内容については、削除の対象としています。
【該当する例】
- 誤字脱字やひらがなの量、過度な変換ミスがある
「ですくやかんきょうがととのっており、とてもよいと主いまふ。」
- 顔文字や記号などの文字が使用されている
「A会社はとても福利厚生がよいです!?(^^♪)」
- 意味がよく分からないものや句読点が多く使用されている
「ああああああ、、、、、ごめんなさい。、、、、、あはははは、、、、」
- 嫌味などビジネスマナーから逸れる場合
「この会社に入るメリットとは?(笑)」
転職会議の口コミを削除する4つの方法
ガイドラインに該当する内容の投稿については、削除できる可能性があります。自社への投稿のなかに一致する内容が発見されたときは、削除依頼を検討してみましょう。なお口コミの削除を依頼するときの方法には、おもに4つのものが挙げられます。
「問い合わせ」より削除依頼をする
誹謗中傷などを含むような悪質な口コミを見つけたときは、サイト内にある問い合わせフォームより、口コミの削除を依頼できます。問い合わせを行うときは、企業ドメインのメールアドレスを使いましょう。フリーメールなどでは、受け付けてもらえない可能性があります。
削除依頼は、自社または代理人となる弁護士のみが可能です。他者が代わりに行ってしまうと違法行為となってしまいます。転職会議では違法行為に対して厳正に対応するとしており、サイト内に「法律に反して口コミ削除をしようとした」旨が記載されます。さらにイメージが悪くなる可能性があるため、注意しましょう。
ただし、削除申請しても対応してもらえないケースもよくあります。転職会議では、口コミの削除は権利侵害に該当するときに限られるため、申請すれば必ず削除されるというわけではありません。
運営元に書面で削除依頼を行う
削除依頼は、「内容証明郵便」と呼ばれる書面でも可能です。内容証明郵便は法的な効力をもった郵便となるため、相手の対応を促す効果に期待できます。口コミ削除のトラブルなどの場合、メールによる問い合わせだけでは、きちんと対応してくれないことがあります。困ったケースでは、なかなか返信すら来ないこともあるようです。
内容証明郵便を用いれば、このような事態を減らせる可能性があります。内容証明郵便では、「いつ、だれが、どのような内容を送ったか」という情報を郵便局が保存します。証拠が残っているため、相手は「届いていないとの主張」「内容の改ざん」などはできません。証拠として提出されると裁判で不利に働く可能性もあるため、メールなどよりきちんと対応してもらえる可能性は高いでしょう。
ただし、内容証明郵便は正しい手順に沿って作成することが必要です。
内容証明郵便の書き方
内容証明郵便には、3つの作成方法があります。正式な書面として扱われるためには、正しい手順で作成することが必要です。
内容証明郵便の作成方法
・手書き
・パソコンで作成してプリントアウト
・e内容証明
e内容証明とは、郵便局が提供している電子サービスです。インターネットを通じて、いつでも内容証明を発送できます。Wordファイルで作成し、専用ページにアップロードするだけで済むため、手間や労力を軽くできます。
続いて書式です。内容証明郵便は、定められた書式に沿って記述しなければなりません。
書 式 | 1枚あたり |
縦書き | 1行が20字以内のとき、26行以下 |
横書き |
1行が26字以内のとき、20行以下 |
1行が20字以内のとき、26行以下 | |
1行が13字以内のとき、40行以下 |
記載内容については日付と通知内容、自分と相手の氏名および住所などを記載することが一般的です。法人同士の場合には、社名と代表者名を記入します。なお内容証明は、「相手に送るもの、本人控え、郵便局控え」の3部が必要です。
内容証明郵便は、取り扱う郵便局が決められています。どの郵便局でも出せるわけではないため、事前に確認が必要です。また、発送するには別途料金が発生します。詳しくは、郵便局のホームページをご参照ください。
裁判所を通じて削除依頼をする
削除依頼には、裁判所を通じて依頼する方法もあります。これを送信防止措置仮処分といいます。申請が通ると、投稿の削除を促すよう裁判所から命令が下るため、運営者は基本的に応じなければなりません。裁判所からの命令となるため、内容証明郵便よりも対応してもらえる確率がより高くなります。
ただし、手続きの際には法的な知識も必要です。削除の申請をするためには、権利侵害などについて法的な根拠を示さなければなりません。証明の仕方や必要な書類については、専門的な知識とスキルが必要となるため、自社のみで申請するのは難しいでしょう。
送信防止措置仮処分とは?
送信防止措置仮処分とは、権利侵害に該当する誹謗中傷などの口コミに対して、削除を要求できる制度のことです。自社や弁護士から送る方法と、裁判所を通じて送る方法の2つがあります。特に裁判所が削除を命じた場合には、運営者は必ず削除しなければなりません。万が一削除に応じない場合には、強制執行手続きを行うことが一般的です。
なお裁判所での仮処分を利用するときは、一度担保金を納付しなければなりません。多くの場合には、ひとまず預けるだけのため後ほど返却されます。
発信者を特定して投稿を修正または削除してもらう
サイトへ書込みを行う投稿者のなかには、悪質な内容の投稿を繰り返す者もいます。そのような誹謗中傷などの口コミが止まらない場合には、削除依頼をしてもキリがないため、発信者の特定が有効です。こちらの主張が認められると、発信者は自ら投稿の修正や削除を行わなければなりません。
また、発信者の特定は悪質な口コミの抑止効果にも期待できます。誹謗中傷を含んだ悪質な投稿者に対しては、運営も何かしらのペナルティを課すケースがあるようです。よく見られるペナルティとしては一定期間の利用停止、アカウントの削除などが挙げられます。
悪質な投稿者のなかには、軽い気持ちで書き込みする方も多くいます。ペナルティを受けたことで反省する方も多いため、次の投稿を防ぐ効果に期待できるでしょう。
悪質な投稿者への責任追及について
誹謗中傷の内容などあまりにもひどい悪質な投稿については、投稿者の責任を追及することが可能です。投稿者が負うべき責任には、民事責任と刑事責任の2種類があります。
民事責任とは、加害者に対して民法上の責任を負わせることです。おもには損害賠償責任などが挙げられ、加害者が被害者に与えた損失をお金で償います。示談金なども、民事責任のひとつです。支払うべき金額は、損失の程度など状況によって異なります。誹謗中傷などのいきすぎた口コミが悪質な口コミ投稿者については、損害賠償責任を追及できる可能性があります。
刑事責任とは、懲役や禁固刑など刑事罰が発生する責任のことです。口コミの場合などでは、おもに名誉毀損罪が該当します。事実が認められると加害者は、「3年以下の懲役または禁錮、もしくは50万円以下の罰金」に処せられます。刑事責任を追及したいときは、警察へ被害届の提出が必要です。
転職会議の口コミ削除依頼のポイント
削除依頼を検討するときは、あらかじめおさえておくべきポイントがあります。誹謗中傷など悪質な口コミの削除には法律の要素も含まれるため、適切な手順で行うことが大切です。重要ポイントをおさえておくと、手続きを円滑に進めることができるでしょう。
投稿された内容が虚偽であることを証明する必要がある
削除依頼をするには、投稿された内容が権利侵害にあたることを証明する必要があります。証拠となるものがなければ情報が偏ってしまい、読者に不利益をもたらす恐れがあるためです。なお事実の証明は、どの依頼方法でも必要となります。
削除の方法は「一部削除」または「全文削除」の2種類
削除依頼には、一部削除と全文削除の2種類があります。削除依頼をすると、一部削除で対応されることが多いようです。例えば「人事の佐藤さんは性格が悪い」の投稿であれば、「人事部の佐藤さん」が削除対象となります。このときには、該当する箇所を伏字にすることで、対応される可能性があります。
一方で全文削除をしたいときは、全文削除が必要な理由を明示しなければなりません。公平さの観点より、全文削除に妥当な理由が必要となります。
自社のみでは対応困難なケースが多い
問い合わせや内容証明郵便などは、自社のみで行うことが可能です。しかし、自社のみで削除依頼をする際には、相手に削除を拒否されるケースも多くあります。送信防止措置仮処分などであれば一定の効果が期待できますが、専門的な知識が必要です。そのため、自社だけで対応するのは難しいといえるでしょう。
削除依頼ができるのは「書込みされた企業」と「企業の代理人となる弁護士」のみ
削除依頼が認められるものは、書込みされた企業と代理人となる弁護士のみです。それ以外の該当しない方が依頼すると、非弁行為に該当してしまうため、違法行為と扱われます。
公式サイトでは、非弁行為を行った企業についてはサイトに掲載するなどのペナルティを課すとして対応されています。最近では、企業の代理人を引き受けるという怪しい業者もいるようです。そのような業者に頼んでしまうと違法と扱われるため、依頼主に対してもペナルティが発生する可能性があります。
転職会議の口コミ削除が自社のみで難しいときは弁護士への依頼を検討する
自社で対応が難しい場合には、無理をせず弁護士への相談も検討しましょう。自社のみで対応しようとすると、なかなか対応してもらえないケースも多いようです。そのようなときは、専門家である弁護士への依頼を検討しましょう。
転職会議に投稿された口コミの削除依頼に必要な書類
転職会議に投稿された口コミの削除依頼をするときには、基本的に2種類の書類が必要です。必要となる書類は、以下のものです。
・侵害情報の通知書・送信防止措置依頼書
・印鑑証明書(3カ月以内に発行されたもの)
「侵害情報の通知書・送信防止措置依頼書」は、口コミの運営元やプロバイダが提供しています。転職会議でも提供されているため、取得しておきましょう。なお弁護士を通して削除依頼をする際には、印鑑証明書は必要ありません。
弁護士費用は削除依頼の方法や依頼する範囲などによって異なる
弁護士に依頼するには、費用が発生します。支払う費用においては削除依頼の方法や依頼する範囲などによって大きく異なります。また、追加費用を払わなければならないときは、先方が削除依頼に応じず裁判に発展した場合です。解決しないまま裁判が長引くと、費用も膨らんでしまうため注意が必要です。
現在では、法律事務所もネットから問い合わせができます。メールや電話相談を受け付けている事務所もあるため、気になることがある際には利用を検討しましょう。
転職会議の口コミ被害でよくある事例とおもな対処法
転職会議の口コミには、さまざまな意見が寄せられますが、なかにはよく見られる投稿があります。投稿されることが多い内容を把握しておけば、自社の書き込みがされたときにも対処がしやすくなります。
また、事前の準備として事実を証明できる証拠の確保も重要です。事実を証明することができれば、誹謗中傷などを含む口コミの削除が認められる確率も上がります。必ず削除できるわけではありませんが、証拠を確保しておくと裁判に発展したときも有利に働くでしょう。
なお証拠として効果が期待できるものは、投稿された内容によって異なります。よくある事例ごとに大切なポイントは、あらかじめ把握しておきましょう。
「パワハラ」など社内事情の内容が投稿されたとき
社内の人間関係に関する内容は、口コミでよく見られるものです。人間関係などの口コミを削除したいときは、パワハラが起きてないことを証明する必要があります。しかし人間関係などについて、証拠となる書面が残っていることはほとんどないでしょう。その際は、社内アンケートなどを実施して、事実関係を明確にするなどが有効です。
ただし、実施したアンケートが公平さを欠く場合には、証拠として認められない可能性があります。無理やり書かせたなど情報操作の疑いも考えられ、証拠としての信ぴょう性が不十分なためです。アンケートを実施するときは、無記名や全社員に対して行うなど公平さを確保しましょう。
なおパワハラなどについては、研修などの取り組みを行っていれば、事実関係を証明できることもあります。役職者の個人的な行動については覆せませんが、企業全体がパワハラ体質でないことは証明できるでしょう。
残業の未払いなど賃金に関する内容の投稿がされたとき
サイトの書込みには、残業代など賃金に関する投稿もよく見受けられます。賃金に関する投稿に関しては、賃金台帳や雇用契約書およびタイムカードなどのように、実績や条件を証明できる書類の提出が効果的です。残業代や賃金などについては、よく理解できていない労働者の方も多くいます。そのため、企業と従業員の間に誤解も生じがちです。
誤解が多い例としては、「固定残業代(みなし残業代)」などが挙げられます。これは残業を想定して、残業代をあらかじめ固定給に含めて支給するものです。もちろん固定残業代を超える残業が発生した場合には、追加で残業代が支払われます。
固定残業代を取り入れる条件は厳しくなっており、労働契約書などにも記載してあるはずです。しかし、「残業しているのに給料が変わらない」と誤解する従業員もいます。なかには不満を募らせて、口コミに投稿する方もいるでしょう。
このようなときには、内容が記載されている労働契約書やタイムカードを用いて、事実を証明することが大切です。誤解だと証明できれば事実と異なるため、削除にも応じてもらいやすくなるでしょう。
休日や有給休暇など労働に関する内容が投稿されたとき
企業の休日に関することも、よく投稿される内容です。近年では待遇や福利厚生は、労働者からの関心が高まっています。いくつかの企業では、労働者が「企業に求めること」について定期的に調査を行っており、休日や福利厚生はいつも上位にランクインしています。休日が少ないおよび有給があまり取れない企業は、ブラック企業と認識される場合もあるようです。
このようなときには、就業規則や有給休暇の取得実績を提出することで、事実を証明できる可能性があります。休日に関しては、企業と従業員の間で誤解が生じることがよく見られます。特に「有給休暇の買い上げ、代休、公休」などは混同されることも多く、トラブルが発生しやすいものです。
企業の人事担当者様も理解できていない場合もあり、書類がきちんと整備されていないケースもあります。このようなときには、社会保険労務士や弁護士などの専門家に相談して、削除依頼と共に規定や書類を整備しておきましょう。
まとめ
現代社会において口コミは、市場にも影響を与えるほど強い影響力をもつものです。悪質な口コミは事業への影響も懸念されるため、早急に対応を検討することが大切です。なお削除依頼を行うときは、転職会議のガイドラインに沿って適切に対処しましょう。正当性が認められると、口コミを削除できる可能性があります。