ソフトウェアの違法コピーが販売されていることを発見した場合
インターネット上で、自社のソフトウェアの違法コピー製品が販売されていることが発見されたという事案が多くあります。
違法コピー製品への対応としては、刑事手続及び民事手続を採ることができます。
いずれの手続きを採る場合であっても、権利侵害をされている事実が発覚した場合には、その事実を証明できるように証拠を確保しておく必要があります。
たとえば、インターネット上であれば、プリントアウトや、スクリーンショットなどが考えられますが、必ずURLがわかる形で保存をする必要があります。
ソフトウェアの違法コピーに関する刑事手続について
まず、刑事手続についてですが、著作権の侵害をされている場合には、著作権法が親告罪であると定められています。
親告罪は、性犯罪等の特別な場合を除いて、犯人を知ったときから「6ヶ月以内に告訴」をし、受理をしてもらう必要があります。それを過ぎると告訴を受理してもらえなくなってしまうのです。
したがって、犯人がわかっている場合には、特に早急に手続きをする必要がありますが、著作権法では、通常の窃盗事件や傷害事件などの犯罪と異なり、そのソフトウェアが著作権として成立しているのか、著作権者として権利を保有しているのかなども問題となり得るため、より専門的な知見が必要となります。
告訴期間を過ぎると告訴を受理してもらえなくなってしまうため、早期に弁護士等の専門家にご相談をいただく必要があるでしょう。
警察又は検察に告訴状を提出し、受理をされ、捜査がされると、その過程で被疑者やその代理人から、示談の申入れ等がされる場合もあり、民事訴訟の手続きを待たずに、被害回復をできるケースもあります。
ソフトウェアの違法コピーに関する民事手続について
もちろん、刑事手続きと併せて民事手続を行うことも可能ですし、一般的です。
製品の販売の停止については、まず通知書を送付することが重要ですが、一般的に弁護士名で送付する方が、個人での通知よりも効力がある場合が多いと考えられます。
通知でも相手方が停止をしない場合には、裁判所の手続きのうち、仮処分という保全手続きを使用して、ソフトウェアの使用・販売を差し止めるということが考えられます(なお、仮処分においては損害賠償請求はできません)。
もっとも、知的財産権の使用・販売の差し止めについては、一般の仮処分よりも高度な疎明が求められることから、相当な準備をしなければならない点に留意する必要があり、仮処分にあたり別途費用が掛かることになります。
民事手続きの順序としては、仮処分をした上で、訴訟を提起し、損害賠償及び使用・販売の差し止めを請求し、その判決を得て、強制執行をするという流れとなります(が、必ず訴訟を提起しなければならないというわけではありません)。